ドラクエ5の裏技「ひとしこのみ」とは?名前の由来やバグなのかを解説
ドラゴンクエスト5(ドラクエ5)をプレイしたことがある方、あるいはシリーズのファンであれば、一度は「ひとしこのみ」という不思議な言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
これは単なるアイテム名や呪文ではなく、1992年に発売されたスーパーファミコン(SFC)版のドラクエ5にのみ存在する、ゲームバランスを根底から覆すほどの強力な裏技の通称です。
この裏技を実行すると、戦闘において通常プレイでは考えられない驚異的な効果が発揮され、多くのプレイヤーに衝撃を与えました。
発売から長い年月を経て発見されたこの技は、今やドラクエ5を語る上で欠かせない伝説的な存在となっています。
「ひとしこのみ」は仲間の名前を使った経験値稼ぎテクニック
「ひとしこのみ」の主な効果は2つあり、どちらも極めて強力です。
1つ目は、味方全員が行う単体への通常攻撃が、必ず会心の一撃になることです。
これにより、守備力が非常に高く通常攻撃ではほとんどダメージを与えられないメタルスライムやはぐれメタルといった敵でさえも一撃で倒せるようになり、経験値稼ぎの効率が文字通り桁違いに向上します。
レベル上げにかかる時間が劇的に短縮されるため、ストーリー攻略を快適に進めたいプレイヤーにとっては絶大な恩恵があります。
2つ目の効果は、仲間にできる可能性のあるモンスターを戦闘終了後に倒した際に、100%の確率で仲間になるというものです。
ヘルバトラーやキラーマシンといった、仲間になる確率が極めて低く、何度も戦う必要があるモンスターも、一度倒すだけで確実に仲間にできます。
通常では膨大な時間と労力がかかるモンスターコンプリートを目指すプレイヤーにとって、これ以上ない夢のようなテクニックと言えるでしょう。
名前の由来は?なぜ「ひとしこのみ」と呼ばれるのか
この「ひとしこのみ」というユニークな名前の由来は、裏技を発動させるために必要な6つの特定のアイテムの頭文字を繋げたものです。
そのアイテムとは、「ひのきのぼう」「とがったホネ」「しあわせのぼうし」「こんぼう」「のこぎりがたな」「みかわしのふく」です。
これらの頭文字を並べて読むと「ひ・と・し・こ・の・み」となります。
さらに興味深いことに、ドラクエ5の仲間モンスターの名前にも、この裏技との関連を強く示唆する事実が存在します。
スライムベホマズンを仲間にした際、4匹目の名前が偶然にも「ひとし」となり、ミニデーモンの4匹目の名前が「このみ」となるのです。
加えて、開発スタッフのプログラマーに「大堀仁司(おおほり ひとし)」という方がいたことも確認されており、開発者が意図的に仕込んだ遊び心溢れるサインではないかと、ファンの間では広く推測されています。
この裏技はバグ?それとも公式の仕様?
「ひとしこのみ」は、プログラムの誤りによって偶然発生したバグ(不具合)ではなく、開発者がゲームの動作検証(デバッグ)のために用意した特殊なコマンドが、製品版にも意図的に残されたものである、という説が最も有力です。
この裏技は、発売から10年が経過した2002年に、有志のファンによるプログラム解析によって初めて発見されました。
通常のプレイで偶然条件が揃うことはまず考えられないほど特殊な手順を必要とすることから、単なる消し忘れとは考えにくいです。
むしろ、デバッグコマンドを削除することによってデータの整合性が崩れ、新たなバグが発生するリスクを避けるために、あえてそのまま残されたのだと考えられています。
これは当時のゲーム開発では決して珍しいことではありませんでした。
【機種別】ひとしこのみの具体的なやり方と手順
この伝説的な裏技「ひとしこのみ」ですが、残念ながらすべてのドラクエ5で実行できるわけではありません。
ここでは、機種ごとの対応状況を明確にし、唯一実行可能なスーパーファミコン版での具体的な手順を詳細に解説します。
リメイク版で試そうと考えている方は、まずこのセクションをご確認ください。
裏技の実行に必要な事前準備リスト
「ひとしこのみ」を発動させるためには、前述の通り6種類の特定のアイテムを、決められた順番で揃える必要があります。
それぞれのアイテムの主な入手場所は、「ひのきのぼう」と「とがったホネ」が物語序盤の少年時代に訪れるサンタローズの村の武器屋、「しあわせのぼうし」が青年時代前半のクライマックスであるグランバニア城内の宝箱、「こんぼう」がポートセルミの町の武器屋、「のこぎりがたな」がルラフェンやテルパドールの町の武器屋、「みかわしのふく」がサラボナやテルパドールの町の防具屋です。
最も入手が遅いアイテムは「しあわせのぼうし」なので、ゲーム内でこの裏技が最速で実行可能になるのは、青年時代前半にグランバニアに到着したタイミングとなります。
DS版でのやり方と最速攻略ルート
2008年に発売されたニンテンドーDSのリメイク版ドラクエ5では、「ひとしこのみ」の裏技は使用できません。
リメイクにあたり、ゲームバランスの再調整やプログラムの最適化が行われた結果、元となったデバッグコマンドは完全に削除されています。
そのため、スーパーファミコン版と同じ手順を試しても、会心の一撃が出たりモンスターが必ず仲間になったりといった効果は一切発揮されません。
したがって、DS版での攻略ルートを考える際に、この裏技を前提としたレベル上げや仲間集めの計画を立てることは不可能です。
スマホ版(iOS/Android)でのやり方と注意点
DS版と同様に、現在配信されているスマートフォン(iOS/Android)向けのリメイク版ドラクエ5でも「ひとしこのみ」は使えなくなっています。
スーパーファミコン版であまりにも強力すぎたこの裏技は、リメイク版ではゲームの面白さを損なわないよう、意図的に修正されています。
スマホ版でプレイする際は、この裏技に頼ることはできないため、地道なレベル上げやモンスターとの再戦を重ねる、本来のゲームバランスで攻略を進める必要があります。
SFC(スーパーファミコン)版での手順
「ひとしこのみ」が唯一可能なスーパーファミコン版での手順は、非常に厳密で、少しでも間違うと成功しません。
まず、主人公の道具欄を完全に空にし、アイテムを何も持っていない状態にします。
次に、「ひのきのぼう」「とがったホネ」「しあわせのぼうし」「こんぼう」「のこぎりがたな」「みかわしのふく」の6つのアイテムを、必ずこの順番通りに主人公に持たせます。
仲間から渡すか、主人公自身で並べ替えても構いませんが、最終的に主人公の道具欄の1番上から6番目までが、この順番で埋まっている必要があります。
順番を間違えたり、これら以外のアイテム(やくそう等)を一つでも持っていたりすると、裏技は発動しないので注意してください。また、アイテムを装備すると道具欄の順番が自動的に一番上にソートされてしまうため、原則として主人公は何も装備しない状態にする必要があります。
「ひとしこのみ」を効率的に行うための攻略情報まとめ
「ひとしこのみ」は非常に強力ですが、その効果を最大限に引き出し、同時にリスクを管理するためにはいくつかのコツと注意点が存在します。
ここでは、この裏技をより安全かつ効率的に活用するための具体的な攻略情報を紹介します。
経験値稼ぎにおすすめの場所はどこ?
この裏技の最大のメリットである「会心の一撃100%」を活かすなら、経験値稼ぎの場所は言うまでもなくメタル系のモンスターが出現するエリアが最適です。
通常は倒すのに非常に苦労するメタルスライムやはぐれメタルも、面白いように会心の一撃で一撃で倒すことができます。
具体的な場所としては、青年時代前半ならグランバニア山の洞窟、後半であれば謎の洞窟やエビルマウンテン周辺などが、出現率も高く効率的なレベル上げのポイントとして挙げられます。
これらの場所で集中的に戦えば、短時間でパーティを大幅に強化することが可能です。
最速でレベル上げを行うためのコツとポイント
「ひとしこのみ」をゲーム中盤から最速で実行するための最大のポイントは、物語序盤の少年時代に「ひのきのぼう」と「とがったホネ」を必ず購入し、青年時代まで大切に持ち越すことです。
これらのアイテムは青年時代前半の店では購入できず、もし少年時代に捨ててしまったり売ってしまったりすると、青年時代後半にイベントで過去のサンタローズへ行けるようになるまで、この裏技はお預けとなってしまいます。
スーパーファミコン版には便利な「ふくろ」がないためアイテム管理は大変ですが、預かり所が使えるようになったらすぐに預けるなどして、この2つだけは絶対に手放さないようにしましょう。
実行する際のデメリットや注意すべきことは?
最も注意すべきデメリットは、裏技を発動させるために主人公が「ひのきのぼう」以外の武器や防具を一切装備できず、実質的に丸腰の脆弱な状態になってしまうことです。
敵からの攻撃で大ダメージを受けやすくなるため、主人公を馬車の中に入れて戦闘メンバーから外しておくなどの対策が必須です。また、戦闘中に宝箱を発見したり、敵がアイテムをドロップしたりして何かを手に入れてしまうと、その時点で道具欄の構成が崩れて「ひとしこのみ」状態が即座に解除されてしまう点にも細心の注意が必要です。
さらに、この裏技は単体への通常攻撃にしか効果がなく、ブーメラン系の全体攻撃武器や、どくばりのような特殊な武器では会心の一撃が出ないことも覚えておきましょう。
「ひとしこのみ」に関するよくある質問
最後に、「ひとしこのみ」という裏技について、多くのプレイヤーが抱くであろう疑問や、まことしやかに囁かれる噂について、Q&A形式で明確にお答えします。
他のドラクエシリーズ(DQ6など)でも「ひとしこのみ」は可能?
この裏技は、スーパーファミコン版のドラゴンクエスト5のプログラム内部にのみ存在する固有のものです。
特定のアイテムの並びをチェックするという特殊な処理は、他のシリーズ作品には組み込まれていません。
したがって、ドラゴンクエスト6(DQ6)をはじめとする他のシリーズ作品や、ドラクエ5の各種リメイク作品で同じ手順を試しても、同様の効果は一切得られません。
「ひとの好みは様々」という言葉との関係は?
「ひとしこのみ」という独特の語感から、「人の好みは様々」ということわざを連想する方もいるかもしれませんが、これは偶然の一致であり、直接的な関係はありません。
前述の通り、この裏技の名称は、あくまで発動条件となる6つのアイテムの頭文字を繋げたものと、開発者の遊び心から来ているとされる仲間モンスターの名前に由来しています。
この裏技を使ってもゲームデータは安全?
「ひとしこのみ」は、本来デバッグ用に組み込まれていた機能が残ったものと推測されているため、ゲームの進行を不可能にしたり、セーブデータを破壊したりするような、深刻な悪影響を及ぼすバグを引き起こす可能性は極めて低いと考えられています。
多くのプレイヤーが試していますが、これ自体が原因でデータが破損したという報告はほとんどありません。
しかし、これはメーカーが公式に保証した機能ではなく、あくまで「裏技」の範疇です。
使用する場合は、万が一を考え、自己責任で行うという認識を持っておくことが大切です。