ドライクリーニング後の嫌な匂いの原因【詳細解説】
衣類をクリーニングに出した後、見た目はきれいになっているのに、なぜか嫌な匂いが気になることがありますよね。
これは、表面の汚れが落ちていても、「匂いのもと」が残っている場合や、クリーニング工程に問題があることが原因です。
1. タンパク質汚れが落ちきっていない
ドライクリーニングは油汚れには強い一方で、汗や皮脂、食べ物の汁などに含まれるタンパク質汚れは苦手です。
これらが衣類に残っていると、時間が経つにつれて酸化し、いやな臭いの原因となります。
特に、脇や首回り、食べこぼしのあった部分などは、汚れが染み込みやすく、見た目では分からなくても臭いだけが残るケースもあります。
ポイント:
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タンパク質汚れは水洗いでしか完全に落とせない
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ドライクリーニングだけでは落ちにくい汚れもある
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汗をかいた衣類は「汗抜き」オプションの利用がおすすめ
2. 溶剤の管理が適切でない
ドライクリーニングでは「溶剤」と呼ばれる特殊な洗浄液を使います。この溶剤は何度も再利用されるため、管理が不十分だと汚れや匂いが蓄積してしまうのです。
管理の悪い溶剤で洗った衣類は、逆に不快な匂いがついてしまうことも。これはまるで、汚れた水で顔を洗うようなものです。
溶剤の管理が悪いと…:
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洗浄力が弱くなる
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他の衣類の匂いや汚れが移る
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衣類に残留して異臭の原因になる
利用するクリーニング店が、定期的に溶剤をろ過・交換しているかも、見極めのポイントです。
3. 溶剤が衣類に残っている
溶剤そのものが悪くなくても、乾燥が不十分で衣類に残留していると、石油系のようなツンとした化学的な匂いがします。
特に分厚いコートやダウンジャケットなどは、内部までしっかり乾燥しにくく、溶剤が残りやすい傾向にあります。
なぜ乾燥が不十分になるのか?
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業務が混み合っていて処理が甘くなる
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厚手の衣類で乾燥時間が不足している
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機械の乾燥性能が低い
受け取った衣類が冷たかったり湿気を感じたりする場合は、溶剤が残っている可能性を疑いましょう。
4. カビが発生している
クリーニング後、ビニール袋に入れたまま放置していると、内部に湿気がこもり、カビの発生リスクが高まります。
見た目は変わらなくても、カビ特有の酸っぱいような匂いがすることがあります。
これは「衣類を包んでいたビニール」が原因のひとつ。ビニールは通気性が悪く、湿度が上がりやすい環境を作ってしまいます。
対策としては:
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クリーニング後すぐにビニール袋を外す
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風通しの良い場所に保管する
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長期間使わない衣類は防湿・防カビ対策を
特に梅雨時期や冬場の暖房使用中は、室内の湿度が高くなりがちなので注意が必要です。
ドライクリーニング後の嫌な匂いを取る方法【詳しく解説】
嫌な匂いがついてしまった場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。
衣類の種類や匂いの原因に合わせて、適切な方法を取れば改善できます。
1. 風通しの良い場所で陰干しする
まず試してほしいのが、「陰干し」です。クリーニング直後の衣類は、目には見えなくても溶剤や湿気がわずかに残っていることがあります。
これが嫌な匂いのもとになっている場合は、自然乾燥でかなり改善されます。
おすすめの陰干しの方法:
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屋外の直射日光を避けた日陰(紫外線で生地が傷むのを防ぐため)
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室内なら窓を開ける or 換気扇を回すなど風通しを確保
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可能なら扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
1〜2日干すだけで、ツンとした化学臭がかなり軽減されるケースもあります。ダウンジャケットや厚手のコートは、特に丁寧な陰干しが効果的です。
2. スチームアイロンで蒸気をあてる
匂いの原因が衣類に残った成分であれば、スチーム(蒸気)で蒸すことが効果的です。
蒸気の力で繊維が開き、奥にこもった匂い成分が逃げやすくなります。
スチームアイロンの使い方:
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直接押し当てず、浮かせて蒸気だけをあてる
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生地との距離は2〜3cm
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複数回に分けて、全体をまんべんなくあてる
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仕上げにもう一度陰干しすると◎
ただし、シルクやウールなど繊細な素材は、熱に弱いのでスチームの温度には注意しましょう。洗濯表示タグを確認してから行ってください。
3. 消臭スプレーを使う(使いすぎ注意)
即効性を求めるなら、市販の消臭スプレーも選択肢です。ただし、あくまでも「一時的に匂いをごまかす」手段であり、根本的な解決にはなりません。
使う際のポイント:
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衣類用の無香タイプを選ぶ(香料入りは匂いが混ざる場合あり)
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近づけすぎず、20cm程度離してまんべんなく噴射
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使用後はしっかり乾かす(湿気が残ると逆効果)
使いすぎるとかえって不快な香りのミックスになってしまうので、軽めに使用し、他の方法と併用するのがおすすめです。
4. 水洗いや再クリーニングを検討する
匂いが強く、他の方法で取れない場合は、クリーニング店に相談して再クリーニングを依頼するのが安心です。
また、衣類によっては「ウェットクリーニング(水を使ったクリーニング)」に切り替えることで、汗や皮脂などの水溶性汚れがしっかり落ち、匂いも軽減できます。
再クリーニングを頼む際のコツ:
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具体的に「匂いが気になる」と伝える
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汗抜き加工や抗菌加工のオプションがあるか確認
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地元の信頼できるクリーニング店を選ぶ
「無料で再クリーニングに応じます」という保証を設けている店舗もあるので、問い合わせてみる価値はあります。
ドライクリーニング後の嫌な匂いを防ぐための予防法
クリーニング後の衣類に嫌な匂いがついてしまう前に、あらかじめ予防しておくことがとても大切です。
日常的なケアや、お店に出す前・受け取った後のちょっとした工夫で、かなりの違いが出てきます。
1. クリーニングに出す前に衣類を軽く乾かす
意外と見落としがちなのが、「湿った状態でクリーニングに出すこと」。雨に濡れたり、汗をかいた衣類をそのまま袋に入れて出すと、菌やカビが繁殖しやすくなり、クリーニングの過程でも匂いの原因が残ってしまうことがあります。
予防ポイント:
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汗をかいた服は、風通しの良い場所で一晩陰干ししてから出す
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雨に濡れた場合は、乾いてからクリーニングに出す
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ポケットの中も確認し、紙くずなどは取り除く(湿気の原因)
ちょっとした手間ですが、これだけで仕上がりの匂いが大きく変わることがあります。
2. ビニール袋はすぐ外す
クリーニングから戻ってきた服には、必ずと言っていいほどビニール袋がかけられています。この袋、実は「持ち帰り用の包装」であって、保管用ではありません。
長時間つけたままにしておくと、中に湿気や溶剤臭がこもり、匂いの原因になります。
帰宅後すぐにやるべきこと:
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ビニール袋を外す
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1日ほど陰干ししてからクローゼットにしまう
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クローゼットにも除湿剤を入れておくとより安心
衣類を長持ちさせる意味でも、風を通して湿気を飛ばすことはとても重要です。
3. 信頼できるクリーニング店を選ぶ
嫌な匂いの大きな原因が、「溶剤の管理が不十分なクリーニング店」であるケースもあります。
常に同じような匂いがつく場合や、肌ざわりに違和感がある場合は、お店を見直すサインかもしれません。
良いクリーニング店の見極め方:
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店舗内やスタッフの身なりが清潔
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溶剤の管理方法を聞くと丁寧に答えてくれる
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ウェットクリーニングなど細かなサービスがある
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口コミや評判が良い(地域の情報サイトなどで確認)
また、チェーン店よりも個人経営の専門店の方が、融通を利かせてくれることもあります。衣類の相談が気軽にできるお店を探しておくと、いざというときに安心です。
どうしても取れない匂いへの対処法
クリーニングから戻った服にまだ匂いが残っている場合、すぐに諦める必要はありません。家庭でもできる消臭対策があります。
1. 陰干し+風通しで自然に匂いを飛ばす
まずは、風通しの良い場所で1~2日間陰干ししてみてください。多くの匂いは、クリーニング溶剤や湿気が衣類に残っていることによるものなので、自然乾燥で軽減できることがよくあります。
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ハンガーにかけて、窓際の明るい日陰へ
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部屋の中でも、サーキュレーターを使うと効果的
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クローゼットや押し入れにすぐ入れないのがポイント
2. スチームアイロンで軽く蒸気を当てる
スチームアイロンの蒸気には消臭効果があります。アイロンを直接当てず、スチームを少し離れた場所から衣類全体にかけることで、匂いの成分が浮き上がりやすくなります。
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アイロンを布に当てず、20cm程度離して使う
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一か所に長く蒸気を当てない(生地を傷めないため)
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終わったらもう一度陰干しをして乾燥させる
3. 衣類用消臭スプレーを活用する
市販の消臭スプレーの中には、ドライクリーニング後の匂いにも効果的なものがあります。
ただし、生地を傷めないよう「衣類対応」「無香料タイプ」などを選ぶと安心です。
4. 思い切って再クリーニングを依頼する
どうしても匂いが取れない場合、お店に再度相談してみましょう。良心的なクリーニング店であれば、追加料金なしで再洗いに応じてくれることもあります。
嫌な匂いを再発させないためのケア習慣
一度解決しても、日常の保管や着用方法によってまた匂いが戻ってしまうことも。再発を防ぐには、以下のようなちょっとした習慣がとても有効です。
衣類の保管環境を整える
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クローゼットに除湿剤や炭入り消臭剤を設置
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衣類はぎゅうぎゅうに詰めず、風の通り道を作る
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季節の変わり目にはクローゼットの中も掃除・換気する
1回着たらすぐ収納しない
「少ししか着てないから」とすぐに収納せず、数時間ハンガーにかけて風に当てるだけで雑菌や湿気の繁殖を抑えられます。特に高級スーツやコートなどは丁寧に扱うことで、クリーニング頻度も減らせて一石二鳥です。
着用後のメンテナンスを習慣にする
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衣類用ブラシでホコリや花粉を落とす
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汗じみや汚れは濡れタオルなどで軽く拭いておく
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洗濯表示を確認して、自宅ケアとクリーニングを使い分ける
まとめ:匂いの原因を知れば、予防と対策はカンタンに
ドライクリーニング後の嫌な匂いは、「溶剤の残留」「湿気」「菌の繁殖」など、いくつかの要因が複雑に関わっています。しかし、それぞれの原因に合った対策を取ることで、匂いはかなり軽減できます。
最も大切なのは、「気になったらすぐ対処すること」と、「普段から匂いがつきにくいケアを心がけること」です。
衣類を長く大切に着るためにも、クリーニング店との上手な付き合い方や、日常的な習慣の見直しを少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。